目次
1. システム概要
本システムは、TALON(ローコード業務システム開発基盤)で構築した業務システムのデータを、自然言語で生成 AI に直接問い合わせ可能とし、AI が自律的に業務データを検索・集計し、グラフ・ダッシュボードを HTML で自動生成する 対話型 AI アシスタント です。
※当システムの利用にはTALON 6.2.4以降のバージョンが必要となります。
下記の機能を提供しています。
■ 自然言語チャット
- 日本語による業務データへの直接問い合わせ
- 会話形式での段階的な深掘り(追加質問・再分析)
- 事前指示(System Prompt)による AI の挙動制御
■ AI 自律実行
- 機能検索 → 項目仕様取得 → データ検索 → 集計、を AI が自動実行(Tool Use)
- ログインユーザーの権限内データのみアクセス(参照系のみ。登録・更新・削除は実行しない)
- 大量の生データではなく集計結果のみを LLM に返却することも可能(トークン節約)
■ ダッシュボード・グラフ自動生成
- AI が生成した HTML ダッシュボードをチャット内でプレビュー
- 別ウィンドウ表示 / HTML ダウンロード対応
- 会話履歴を Markdown / HTML(ダッシュボード埋込)で保存
■ マルチ AI プロバイダー対応
- Anthropic Claude / OpenAI / Google Gemini を同一画面から選択・切替可能
- ユーザー / グループ単位で利用可能モデルを制限可能
※TALON AI チャット画面イメージ
1.1 解決する課題
| 分類 | 課題 | 解決策 |
|---|---|---|
| 分析の課題 | BI ツール構築は専門知識が必要 | SQL も BI も書かず、自然言語で質問するだけ |
| 分析の課題 | Excel 集計に時間がかかる | AI が業務データを取得・集計し、HTML ダッシュボードを即時生成 |
| 分析の課題 | 定型レポートしか見られない | 「再度質問」だけで切り口(軸・期間・絞り込み)を変更可能 |
| 利用の課題 | データはあるが活用されない | AI が「何が見られるか」を案内し、適切な機能を自動選定 |
| 利用の課題 | 判断が経験と勘に頼る | 「あの数字どうだっけ?」をその場で確認、データドリブンな意思決定を支援 |
| 利用の課題 | AI を業務に取り入れたいが難しい | TALON 機能として組込済み。API キーを設定するだけで利用開始 |
1.2 特徴
■ 製品としての特徴
- 汎用性: TALON で構築したあらゆる業務システム(販売管理・生産管理・顧客管理 など)にそのまま適用可能
- 柔軟性: AI が機能定義を動的に取得して動作するため、業務側の機能追加に追随(個別カスタマイズ不要)
- 権限ベース: TALON ログインユーザーのセッション認証を継承し、権限内のデータにのみアクセス
- マルチ AI: Claude / OpenAI / Gemini を選択可能。複数同時登録・切替対応
■ 組織導入時の特徴
- 低コスト: AI 利用料は使った分だけの従量課金(1 質問 約 0.7 円〜30 円)。本製品自体の利用料は無償
- 組織管理: ユーザー / グループ単位で利用可能 AI モデル・API キーを割当でき、部署別コスト把握が可能
- 利用状況可視化: ユーザー別・部署別・モデル別のトークン使用量を記録、AI 活用状況を継続的に改善可能
- 自動トークン節約: HTML 除去・ターン数制限(直近 20 ターン)・集計優先で API コストを抑制
■ セキュリティについて
- データ参照のみ: AI は業務データの検索・集計のみを行い、登録・更新・削除は一切実行しません
- 権限制御: TALON ログインユーザーの権限を継承し、権限外機能のデータには AI もアクセス不可
- API キーの秘匿: API キーはサーバーサイド(JavaScript エンジン)で処理。ブラウザのネットワークタブに露出しない
- AI の学習に使用されません: API 経由で生成 AI サービスに接続しており、各 AI プロバイダーの利用規約により API 経由のデータは学習に利用されません
1.3 導入は 3 ステップ
2. システム構成
本システムは、TALON 上で動作する JavaScript ベースのチャット機能 として実装されており、AI プロバイダー(Anthropic Claude / OpenAI / Google Gemini)の REST API を呼び出して動作します。AI 基盤自体は内蔵しておらず、API 利用契約は別途必要となります。
ユーザーがブラウザから TALON にログインしてチャット画面を開き、自然言語で質問を入力すると、サーバーサイド処理(JavaScript エンジン)が AI プロバイダーの API を呼び出します。AI は応答中にツール呼び出し(Tool Use)を行い、TALON の機能定義検索・データ検索・集計を AI 自身が判断して実行します。AI のデータアクセスは、ログイン中のユーザーのセッション認証で行われるため、権限外データへのアクセスはできません。
取得されたデータは集計結果として AI に返却され、AI が最終回答(テキスト + HTML ダッシュボード)を生成します。生成された HTML はチャット画面でプレビュー表示され、別ウィンドウ表示・ファイルダウンロード・会話保存(MD/HTML)に対応します。
| コンポーネント | 役割 |
|---|---|
| TALON | 業務データの登録・管理(既存環境をそのまま利用) |
| TLN_AI_CHAT 機能 | チャット UI、AI 呼び出し、ツール実行、トークン制御、履歴管理 |
| サーバーサイド JS(JavaScript エンジン) | AI プロバイダー API 呼び出しと API キー秘匿。ブラウザに API キーは送信されない |
| AI プロバイダー | Anthropic Claude / OpenAI / Google Gemini いずれかの API(別途契約が必要) |
| TALON DB | 業務データ本体。AI はユーザー権限内のデータのみ参照(参照のみ。更新は実行しない) |
| TALON 全文検索 & AI Insight(任意) | 第二弾製品との連携で、機能横断のキーワード全文検索を AI が活用可能(オプション) |
3. 機能説明(チャット)
3.1 機能設定
システム管理者は SETUP 機能(TLN_AI_CHAT_SETUP)を実行することで、本システムの DB テーブルおよび内部マスタを自動構築します。その後、AI 設定画面から AI プロバイダー・モデル・API キー・ユーザー / グループ割当を投入します。
ユーザーごとに使用できる AI モデル・API キーを切り替えられるため、経営層・現場・大量利用部門 などで適切な配分が可能です(詳細は 4. 機能説明(AI モデル管理・利用状況可視化) 参照)。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| AI プロバイダー | Anthropic Claude / OpenAI / Google Gemini を 1 つ以上登録 |
| モデル | 各プロバイダーの利用するモデル ID を指定(例: claude-sonnet-4-6) |
| API キー | 各プロバイダーの API キー(共通 / 部署別 / 個人別 で割当可能) |
| ユーザー / グループ割当 | どのユーザー / グループがどのモデル・API キーを利用可能かを設定 |
| 事前指示テンプレート | 会話に毎回適用される System Prompt(業務ルール・回答スタイル等) |
| 全文検索連携 | TALON 全文検索 & AI Insight が導入済の場合に有効化 |
3.2 チャット画面・操作
ユーザーはメニューから TLN_AI_CHAT を起動し、チャット画面で AI と対話します。「AIへの指示開始」ボタンで会話を開始し、自然言語で質問を入力します。AI はツール呼び出しによって自律的に TALON の機能を検索・データを取得・集計し、テキスト回答および HTML ダッシュボードを生成します。
<動作イメージ>
3.3 事前指示(System Prompt)
会話全体に適用される事前指示を、ユーザーがチャット画面の「AIへ事前指示」欄に入力できます。これにより、AI の挙動を業務ルールに沿って制御することが可能です。
事前指示は「AIへの指示開始」ボタン押下時点で適用され、以降の全ての質問で AI に送信されます。
| 事前指示の例 | 効果 |
|---|---|
| 受注系情報だけを扱ってください | 受注関連の機能のみ検索・分析対象とする |
| 回答は必ず日本語にしてください | 言語を固定 |
| グラフは棒グラフで統一してください | 出力スタイルを指定 |
| 機能ID: SAMPLE_JYUCYU_LIST を使って分析してください | 対象機能を固定 |
※AIへの事前指示入力画面。ログインユーザごとに複数の指示情報を保存しておくことができます。
3.4 ダッシュボード・グラフ自動生成
「グラフで見せて」「ダッシュボードを作って」と AI に伝えると、AI が HTML 形式のグラフ・ダッシュボード・KPI カードを自動生成します。生成された HTML はチャット画面でプレビューでき、別ウィンドウ表示・ダウンロード・会話保存に対応します。
| 表示・出力方法 | 説明 |
|---|---|
| プレビュー表示 | チャット内で即座にビジュアル確認 |
| 別ウィンドウで開く | 新しいウィンドウで全画面表示 |
| HTML ダウンロード | HTML ファイルとして保存・共有 |
| MD 保存 | 会話履歴を Markdown 形式で保存 |
| HTML 保存 | 会話履歴を HTML 形式で保存(ダッシュボード埋込) |
※ダッシュボードを出力した例
3.5 全文検索連携(オプション)
第二弾製品「TALON 全文検索 & AI Insight」が導入済みの場合、チャット画面の「全文検索を利用する」をONにすることで、AI が Fess 全文検索エンジンを利用してキーワードによる 機能横断検索 を実行できます。
これにより「どの機能にデータがあるか分からない」場合でも、AI が関連機能を自動的に発見してデータ分析が可能になります。
補足: 本連携は 任意機能 です。「TALON 全文検索 & AI Insight」未導入の環境でも、TALON AIチャット は単体で動作します(その場合は AI が機能 ID を直接指定して検索する形となります)。
4. 機能説明(AI モデル管理・利用状況可視化)
4.1 ユーザー / グループ別 AI モデル割当
システム管理者は、ユーザーや部署(グループ)ごとに使える AI プロバイダー・モデルを割り当てられます。経営層には高性能モデル、現場社員には中性能・低コストモデル、といった組織的な最適配分が可能です。
4.2 API キー割当
API キーをユーザー単位・部署単位で割り当てられるため、AI 利用料の予算管理を部署別に行えます。請求書ベースでの内部按分が不要になり、各部署の AI 利用コストを直接把握できます。
| 割当方法 | 説明 |
|---|---|
| 共通 API キー | 一般利用者向けに 1 つの API キーで運用(運用シンプル) |
| 部署別 API キー | 営業部・経理部など、部署ごとに別の API キーを発行・割当(部署別コスト管理) |
| 個人別 API キー | 役員・特定ユーザーに専用キーを割当(高機密用途・個人責任管理) |
4.3 利用状況の可視化
すべての質問でトークン使用量が記録され、ユーザー別・部署別・モデル別の利用状況を可視化できます。利用が多い部署、コストが想定以上の部署、AI 活用が進んでいない部署、などを把握して組織の AI 活用度を継続的に改善できます。
| 可視化できる指標 | 用途 |
|---|---|
| ユーザー別の質問数・トークン量・推定費用 | 個人利用状況の把握、ヘビーユーザーの特定 |
| 部署別の利用状況 | 部署間の AI 活用度の比較、予算配分の見直し |
| モデル別の利用比率 | 高性能モデルが過剰に使われていないかチェック |
| 累計トークン・累計費用 | 月次の AI 利用コストの予実管理 |
4.4 1 質問あたりのコスト目安
1 質問あたりのおおまかなコスト目安は以下の通りです(2026年4月時点。各 AI プロバイダーの料金改定により変動します)。
| モデル | 1 質問あたりの目安 | 用途想定 |
|---|---|---|
| OpenAI GPT-5.4 nano | 約 0.7 円 | 大量・定型処理 |
| Gemini 2.5 Flash | 約 1 円 | 大量・高速応答 |
| OpenAI GPT-5.4 mini | 約 2.5 円 | 業務一般 |
| Claude Haiku 4.5 | 約 2.7 円 | 業務一般・対話品質重視 |
| Gemini 3.1 Pro | 約 7 円 | 分析・複雑な質問 |
| OpenAI GPT-5.4 | 約 8 円 | 業務用フラッグシップ |
| Claude Sonnet 4.6 | 約 10 円 | 分析・経営レポート |
| Claude Opus 4.6 | 約 30 円 | 最高精度の分析 |
5. 動作環境
5.1 システム要件
| コンポーネント | バージョン | 備考 |
|---|---|---|
| TALON | Ver 6.2.4 以上 | |
| データベース | Oracle / PostgreSQL / MySQL / SQL Server | TALON 標準対応 DB に準拠 |
| ブラウザ | Google Chrome / Microsoft Edge(最新版) | HTML ダッシュボードプレビューに JavaScript 実行が必要 |
| AI プロバイダー API | Anthropic Claude / OpenAI / Google Gemini いずれか1つ以上 | 各社との API 利用契約・API キーが必要(別途) |
API 利用契約について 本製品は AI モデルを内蔵していません。利用には、Anthropic / OpenAI / Google のいずれかと個別に API 利用契約を結び、API キーを取得していただく必要があります。各社の API 仕様・料金・キー発行に関するお問い合わせは、各プロバイダーの公式窓口へお願いいたします(本製品サポート対象外)。
5.2 ネットワーク要件
TALON サーバーから、利用する AI プロバイダーの API エンドポイントへ HTTPS(TCP 443)でアウトバウンド通信が可能である必要があります。
| AI プロバイダー | API エンドポイント(参考) |
|---|---|
| Anthropic Claude | api.anthropic.com |
| OpenAI | api.openai.com |
| Google Gemini | generativelanguage.googleapis.com |
プロキシ環境下でご利用の場合は、上記エンドポイントへの HTTPS 通信を許可するよう、ファイアウォール / プロキシの設定をご確認ください。
6. 制約事項
- 本システムは 業務データの参照(検索・集計)のみ を行います。
- AI による業務データの登録・更新・削除は 一切行いません。
- データを変更する操作はサポートしません(読み取り専用ツールのみを AI に提供)。
- AI のデータアクセスは、TALON ログインユーザーの権限内に制限されます。
- 権限を持たない機能のデータには AI もアクセスできません。
- セッション認証を継承するため、API キー利用者と TALON ログインユーザーは紐付きます。
- 1 回の質問で AI が呼び出せるツール回数には上限があります。
- デフォルトでは 1 質問あたり 15 回まで のツール呼び出しに制限されます。
- 上限に達すると、AI はそれまでに取得した情報でまとめの回答を試みます。
- 質問を具体的に絞り込むことで、ツール呼び出し回数を抑制できます。
- 会話履歴は直近 20 ターン(質問・回答の組)が保持され、古いものから自動削除されます(トークン節約のため)。
- 長い会話で AI が事前指示を見落とす場合があるため、適宜「クリア」して新しい会話を開始することを推奨します。
- AI が生成した HTML ダッシュボードは、次の質問以降の会話履歴から自動除去されます(画面表示・保存には影響なし)。
- AI プロバイダー側のレート制限(API 同時呼出数 / 分間トークン数)に依存します。
- レート制限に達した場合、「APIが混み合っているため、処理を中断しました」と表示されます。
- 30 秒ほど待ってから「続けて」と入力することで、前の質問の続きから処理を再開できます。
- 全文検索連携は TALON 全文検索 & AI Insight(シリーズ第二弾製品)が導入済みの環境でのみ利用可能です。
- 未導入環境では「全文検索を利用する」のチェックを OFF にしてください。
- AI に送信されるデータ
- 質問文 / 事前指示 / AI が取得した業務データ(集計結果) / 過去の会話履歴 が AI プロバイダーへ送信されます。
- 各 AI プロバイダーの API 経由のため、送信データは AI の学習には利用されません(各プロバイダー利用規約に準拠)。